インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB)を13年間使ってみて感じた事

通称IB証券やIBKRと呼ばれるアメリカのネット証券大手インタラクティブ・ブローカーズ証券に口座開設して13年以上経過しました。

IB証券ことInteractive Brokersを使って13年経過のメール
IB証券ことInteractive Brokersを使って13年経過のメール

主にアメリカ株式市場に上場するETFで、日本からでは投資でいない金融商品へ投資するのに利用しています。

長い間使ってきて、これは良かったな、便利だなと思ったところもあれば、不便だなというところもあります。

口座をこのまま維持してくか、保有している資産を全部売却して口座を閉鎖するかを少し迷っているので自分の備忘録的にメリットとデメリットをまとめてみました。

結論を言うと、2024年からの新NISAで米国株の取引手数料や為替手数料が無料になる楽天証券などもあり、インタラクティブ・ブローカーズ証券の口座を作る意味は小さくなってます。

また、新興のmoomoo証券だと米国株が7000銘柄以上取引できますが、ここも新NISA口座を取り扱っているため、取り扱い銘柄についても優位性が落ちてきています。

新NISAで7000以上の米国株銘柄を取引できるのはmoomoo証券だけ

インタラクティブ・ブローカーズ証券のメリット

低い手数料

メリットの1つは圧倒的に低い売買手数料です。

アメリカ株式市場においては売買単位に関わらず手数料は僅か1ドル(約140円)です。

ただ、2024年からの新NISAによる各ネット証券の競争により、楽天証券を利用すれば米国株取引手数料は無料となります。

楽天証券のNISAなら米国株取引手数料無料

手数料 | Interactive Brokers

また、海外投資をするうえでのコストとして為替手数料も見逃せません。

日本の証券会社で米国株の取引を行う場合、通常の取引手数料同様にこの為替手数料も気にかけたいところです。

大体は、1日一回決まった時間における振替為替レート(TTS,TTB)で両替されます。

TTSというのは日本円を外貨にするときのレートで、TTBは外貨を日本円にする時のレートになります。

そして、これが恐ろしくぼったくりの為替レートになっている場合があります。

例えば、ドル円為替レートは112円のときTTSは114円、TTBは110円とかになっていたりします。

この場合為替スプレッドは4円もあることになります。

このような為替レートの場合、10万円を米ドルにして、何も投資せずに日本円に戻した場合、9万6500円に目減りしてしまいます。

即ち3500円分の手数料が取られたことになるわけです。

因みに日本のFX会社におけるドル円の為替スプレッドは0.3銭前後なのでその差は約1300倍にもなります。

インタラクティブ・ブローカーズ証券の場合はこんな事はありません。

口座に入金した日本円を米ドルに両替する場合も、専用の取引ソフト上で24時間いつでもその時の為替レートで取引できます

為替レートもFX市場のレートなので為替スプレッドも低い、即ち低い手数料で両替が可能です。

但し、2ドルの固定手数料が為替取引にかかるので、1000円や2000円といった少額の両替だと割高な手数料率となってしまいます

また、為替手数料についても2024年の新NISAで楽天証券は為替手数料を無料にするなど施策を打ってきてますので、インタラクティブ・ブローカーズ証券を利用するメリットは薄れてきています。

楽天証券のNISAなら為替手数料も無料

世界42ヶ国の株式市場に上場している株が売買可能

インタラクティブ・ブローカーズ証券を利用すると、世界42ヶ国の株式市場に上場している銘柄に投資可能となります

日本の証券会社で個人投資家がこれだけの国に対して個別の銘柄を売買することが出来るのは私が知ってる範囲だとIG証券のCFD取引だけです。

SBI証券や楽天証券といった大手ネット証券だと、米国株や中国株などの取引は可能ですが、例えばルイヴィトンなど欧州の株式市場に上場している銘柄は買うことが出来ません。

LVMH(ルイヴィトン)株の買い方【SBIや楽天証券では買えない】

また、国内の証券会社だとウィブル証券でしか買うことができない米国株で高配当銘柄として知られるBDC銘柄もIB証券なら売買できます。

楽天証券で買えないBDC銘柄のARCC等を買える証券会社

日本語でのサポートがある

インタラクティブ・ブローカーズ証券は2010年から日本でも営業を開始しています。

その後、日本の個人投資家向けに口座開設の手続きや口座開設後のサポートも行うようになっているため、アメリカの大手ネット証券でありながら、日本人でも口座開設しやすい且つ利用しやすい環境になっています。

例えば、私はインタラクティブ・ブローカーズ証券でいくつかのETFを保有しているのですが、その配当金について発表があった際には下記のように日本語でも情報提供が行われます。

オックスフォードクラブの評判と実際に登録して確認した6銘柄について

インタラクティブブローカーズ証券からの配当金通知
インタラクティブブローカーズ証券からのメッセージ

保有しているETFより手数料が低いETFを提案してくれるサービス

インタラクティブ・ブローカーズ証券ではより低い手数料のETFを提案

これは是非とも日本の証券会社でも取り入れて欲しいのですが、インタラクティブ・ブローカーズではポートフォリオの中にETFがある場合、市場でそれよりも信託報酬が低いETFがあると、もっと低コストのETFがありますよとメールでお知らせしてくれるんです

ユーザの利益をほんと考えてくれているなと感じます。

各種自動取引用のAPIが用意されている

インタラクティブ・ブローカーズの社員は大半がエンジニアで、独自の取引システムを開発・構築しています。

その取引システムにアクセスできるAPIも各種プログラミング言語からアクセスできるようになっているため、自動売買システムを独自に開発して利用することが可能になっています。

インタラクティブ・ブローカーズ証券のデメリット

ここまでインタラクティブ・ブローカーズのメリットについて触れてきましたが、私達日本の個人投資家が利用する上でデメリットもあります。

口座開設時にデポジット(保証金)が必要

口座を開設するには1万ドルの入金が必要となります。

2023年7月7日時点のドル円為替レートは約142円なので142万円の入金が必要となります。

これが1ドル80円の時であれば80万円の入金で口座開設が可能でした。

いずれにしても口座開設手続きを済ませただけでは口座開設完了とはなりません。

www.interactivebrokers.co.jp

毎月口座維持手数料がかかる(2021年7月で廃止)

インタラクティブ・ブローカーズ証券は、海外の証券口座でよくあるように毎月口座維持手数料として10ドルのコストがかかっていましたが、2021年7月から口座維持手数料が廃止されました。

インタラクティブ・ブローカーズの口座維持手数料が廃止
インタラクティブ・ブローカーズの口座維持手数料が廃止

なお、以前までは口座内の流動資産が10万米ドル以上(もしくは別通貨で同等額)を満たせないと口座維持手数料は無料にならず、多くの個人投資家にとってはクリアは厳しい条件となっていました。

尚、1ヶ月間の取引手数料が10ドル以上の場合、この口座維持手数料は発生しませんでした。

口座への入金が海外送金扱いになる

インタラクティブ・ブローカーズはアメリカの証券会社です。

そして口座を開設するのは日本ではなく、アメリカです。

株式や債権を購入するための資金を振り込む銀行口座には、米ドル以外の日本円でも振り込む事が可能ですが、海外送金扱いになるため、振込手数料が高いです

また、海外送金に慣れていない方は最初戸惑うこともあるかもしれません。

ただ、2022年以降は日本でもサービスを開始したRevolutを使うことで送金手数料無料でインタラクティブ・ブロカーズ証券の口座に送金できますので、

IB証券にRevolutを使い送金手数料無料で入金する方法を試した

特定口座がないので税金の計算が面倒

これも当たり前ですが、日本の証券会社ではないので特定口座というものがありません

即ち配当金や売買に伴う利益や損失について自分で計算して確定申告を行う必要があります。

結論:多くの日本人投資家には不向き

ここまでインタラクティブ・ブローカーズのメリットとデメリットについて、12年以上もの間実際に利用してきた身として紹介してきました。

低い手数料や世界中の銘柄を売買できる魅力はありますが、余程マニアックな投資をしたい方でない限り口座を開設する必要はないでしょう。

マニアックな銘柄を取引したいなら世界中の1万2000銘柄も取引が可能なIG証券を試してみましょう。

また、新NISAでマニアックな米国株取引をしたいならmoomoo証券がオススメです。

7000以上の銘柄を取引可能で新NISAに対応しています。

新NISAで7000以上の米国株銘柄を取引できるのはmoomoo証券だけ

私が口座開設した時は、まだまだ日本のネット証券でアメリカ株をはじめとした海外の個別銘柄に投資する環境は整っておらず、手数料も今とは比較にならないほど高い状態でした

しかし、現在は前述したサクソバンク証券やmoomoo証券のようにマニアックな銘柄を扱うところや、楽天証券が米国株の取引手数料や為替手数料を0円にするサービスが登場したのでインタラクティブ・ブローカーズ証券に拘る理由は少なくなってきました。

-米国株