ソーシャルレンディングを営む事業者が日本でもここ数年でかなり増えました。
各運営会社はそれぞれ高い金利を謳い文句に、個人を中心に資金を集めている状況で、この超低金利の日本において、少しでも高い金利を求めてお金が動いています。
しかし、そんなソーシャルレンディングを始める前に一度立ち止まってリスクやデメリットについてちゃんと理解しておく必要があります。
ソーシャルレンディングのデメリット
株やFXなどに比べて劣る税金制度
ソーシャルレンディングの大きなデメリットの1つが税金制度です。
ソーシャルレンディングで得られた分配金や配当金は税制上「雑所得」という扱いになります。
雑所得とは?
雑所得とは、所得税法上の課税区分の一つになります。
所得税には、下記所得区分がありますが、これらのいずれにも当てはまらない所得が、雑所得とされます。
- 事業所得
- 不動産所得
- 利子所得
- 配当所得
- 給与所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 山林所得
- 退職所得
具体的に雑所得になる例を挙げると以下のような収入が雑所得になります。
- オークションやフリマアプリで得られた収益
- 副業で得られた収入
- 国民年金や厚生年金などの公的年金等
そして、この雑所得が1月から12月までの1年間で合算して20万円以上発生した場合は、確定申告が必要となります。
雑所得のデメリット
ここでは特に会社員などのサラリーマンを対象に述べますが、ソーシャルレンディングで得られた雑所得と給与収入を合算して総合課税されます。
これがソーシャルレンディングの税制上のデメリットとなります。
総合課税の税率は累進課税方式となっています。
累進課税方式とは、収入が高くなるにつれて税率が高くなる方式のことをいい、具体的な税率は以下のようになっています。
累進課税の税率
課税所得金額 (収入から扶養控除など各種控除を差し引いた金額) |
税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 | 40% |
これが株式投資やFXで挙げた利益であれば、仮に何億円と利益をあげようが分離課税されるので会社の収入に関係なく一律20%の税金で済みます。
従って、ソーシャルレンディングで数百万円も投資するような人は税金によって利益が目減りしてしまう可能性があります。
ソーシャルレンディングで利益が出ると保険料が上がる
これは特に個人事業主などの自営業の人が加入している国民健康保険に関係します。
国民健康保険の保険料は住んでいる場所や家族構成及び雑所得を含めた収入額によって変わります。
国保の計算方法 | 国民健康保険料の計算、国民健康保険と健康保険任意継続との比較など!
即ち、ソーシャルレンディングで利益を挙げる毎に保険料が高くなっていきます。
支払う保険料が高くなるということは、ソーシャルレンディングで挙げた利益が目減りすることになります。
会社員やサラリーマンは大体が国民健康保険ではなく社会保険に加入しています。
社会保険では保険料を自身と会社がそれぞれ支払う形となっています。
保険料は国民健康保険同様収入などによって決まりますが、収入については会社の給与で決まるという違いがあります。
このように税金面や保険料の面で株式投資やFXに比べてソーシャルレンディングは利益を目減りさせてしまうデメリットがあります。
投資家を保護する制度が無い
以前まだFXの法整備が整っていない時にFX会社が倒産した時に、投資家の資金が信託銀行で信託保全されておらず、戻ってこないということが複数発生しました。
そのため、その後2009年までに法整備が行われFX会社は顧客の資産を信託保全することが義務付けされています。
そのため仮にFX会社が倒産しても投資家の資金は保全されるようになっています。
当然、銀行や証券会社、保険会社などはそれ以前から信託保全することが義務付けられています。
これがソーシャルレンディングの場合、まだ整備されていないため仮にソーシャルレンディングを運営する会社が倒産してしまった場合、顧客の資産が戻ってくる保証はありません。
因みに、信託保全されていても役員や従業員による流用されてしまうケースは残ります。
そのため、偶にテレビニュースなどで銀行員が顧客の資産を勝手に引き出すという事件が発生することがあるわけです。
匿名ファンドという運用形態のリスク
続いてはソーシャルレンディングで利用されている匿名組合というファンドの組成方式に関するリスクです。
匿名組合ファンドでは、私達出資者は配当と運用終了後に出資金を変換する権利があるだけでそれ以外の権利はないことです。
これがどういう意味をもつかというと、匿名組合ファンドがどこで出資金を運用しているのか知る術がないということです。
先日金融庁から1ヶ月間全ての営業業務を停止しなさいという行政処分が課せられた「みんなのクレジット」では出資金が、HPで紹介されていた通りに運用されていないことが明らかになっています。
ソーシャルレンディング以外でも投資関係の詐欺事件は大体が匿名組合ファンドで起きているという事実も理解しておきましょう。
それでもソーシャルレンディングに投資したい場合
ここまでソーシャルレンディングが抱える3つの大きなリスクとデメリットを紹介してきました。
これを読んでもソーシャルレンディング投資を実践してみたいという方は、是非運営会社を選別するようにしてください。
ソーシャルレンディングの会社を選ぶポイント
ソーシャルレンディングの運営会社選ぶ上で重要なのが運営会社の安全性です。
そして安全性をみるうえでのポイントは株主です。
例えば、クラウドクレジットは伊藤忠やマネックスといった大手が出資していまし、SBIソーシャルレンディングは、その名の通り大手金融グループのSBIグループが100%出資しています。
続いて重要なのが情報公開です。
ソーシャルレンディングでは高い利回りを謳っています。
当然その分貸し倒れリスクが高いわけです。
商品によっては元本割れすることもあります。
貸し倒れ状況や元本割れについて正直に投資家に対して情報公開しているのかは非常に重要なポイントです。
先に紹介したクラウドクレジットは、貸し倒れ状況などを公開していますし、会社におけるコンプライアンスの取り組みを積極的に公開している珍しい会社です。
私の場合は、これらのことを鑑みてクラウドクレジット とSBIソーシャルレンディングに口座を開設して少額ですが、投資しています。